[NEW]携帯サイトをなんとなく作りました。DoCoMo au Softbank対応ですがその他は未検証。
小諸市の宗教法人「紀元会」の施設の中で会員の女性が暴行を受け死亡した事件は謎が多い。
事件は当初、家族の中で起きたけんかを原因とする暴行事件とみられていた。ところがその後の警察の調べで、作り話だったことが判明し、被害者や家族が入っていた教団の幹部や会員らによる集団暴行事件だったことが分かった。傷害致死容疑で15歳から80歳までの21人の女が逮捕される事態に発展した。
宗教団体絡みの事件が起きるたびに、その“密室性”が指摘されることが多い。紀元会の場合も地域との接点が少なく、詳しい活動状況を知る人が少ないだけに、地域に与えた衝撃は大きかった。
県警は捜査員400人を投入し、異例とも言える規模の捜査を展開している。事件の全容解明と、謎が多い組織の実態解明に向け、徹底した捜査を求める。
捜査本部の調べだと、教団の幹部らが他のメンバーに暴行をあおった疑いが持たれている。「反省会」と称し、被害者の生活態度をめぐって開かれた話し合いが暴行の引き金になったともされている。しかも、死亡した被害者の夫が、自宅で暴行したことにしよう−と提案し、教団の関与を隠す工作もしていたらしい。
紀元会は1970年に設立された。法人登記の際の目的には「全人類の平和と幸福を得さしめ」などと記されているというが、今回の事件は、宗教法人としての目的からまったく逸脱したことを示した。病気が治るとして「紀元水」という水を販売するなど、世間がいぶかるようなこともしている。
オウム真理教(アーレフに改称)の地下鉄サリン事件や法の華三法行の詐欺事件などを通して「カルト」という言葉が広まった。本来は儀式、崇拝を意味するが、現在では事件など社会問題を起こした宗教団体を指すようになった。
カルト被害の増加を懸念する声は強まっている。京都府の宗教法人の代表が信者の女性に性的暴行を加えた事件は記憶に新しい。「逆らうと地獄に落ちる」などと説教し、抵抗不能の精神状態に追い込んでいく手口が明らかになった。
人と人とのつながりが希薄になるほど、カルトがつけ入る余地が生まれる。社会の中で居場所を探し求める人たちに居心地のいい場所を提供し、身動きをとれなくさせる。カルトが広まる時代背景がある。
現段階で今回の暴行事件とカルトを結び付けるのは早計だが、教団が本来のあり方を見失い、地域住民を不安にさせたことは大きな問題だ。教団へ入った理由なども含め、事件の背景を深く探る必要がある。