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◆批判、徐々にエスカレート
宗教法人「紀元会」(小諸市)を舞台とした集団暴行事件は、県警の一斉捜査から22日で1週間が経過した。当初「家族内のもめ事」とされていた事件は、宗教団体の信者による集団リンチ事件へと発展。逮捕者は25人を数える。教団の中で何が起きていたのか。県警の捜査や関係者の話から背景として浮かび上がるのは信者同士の確執だ。
◇紀元会
同会によると、紀元会は同市所在の大和神社を支える信者の組織。信者は約500人で、「万病に効く」とされる「紀元水が効いたということで入信する人が多い」(教団弁護士)という。神社側のトップは神司総責任者の男性だが、「教祖」とされるのは神社の創設者で「総裁」の松井健介氏(故人)の娘。彼女は教団幹部の窪田容疑者の妹にあたり、「総裁代行」を務める。
◇トラブル
捜査関係者によると、集団暴行の発端は「ささいなこと」だった。
事件当日の24日は午前中から、「勉強会」と呼ばれる集会が開かれていた。同会によると、勉強会には約80人が出席し、教祖の女性に教えを請うていたという。
勉強会が終わり、教祖の女性が退席した後、50人以上が残り、神社の雑務について話し合われた。そこでトラブルが起きる。同会側は「奥野一家の間でもめ事が起きた」と説明するが、捜査関係者の見解は異なる。数年前に奥野さんの次女が窪田容疑者の娘に「お守り」として避妊具を渡したことが蒸し返され、批判にさらされた。
批判は徐々にエスカレート。次女夫婦への暴行が始まった。いつしか「娘が悪いのは母親が悪いから」ということになり、家族が勉強会に出ていなかった奥野さんを連れてきたという。信者は奥野さんを床に押しつけて、暴行を加えた。奥野さんは風変わりな服を着せられたという。動かなくなると、「紀元水」をかけて人工呼吸を施した。その後、和宏容疑者は擬装工作を指示した上で病院へ搬送。死亡が確認され、事件が発覚した。
◇動機と背景
教団関係者は「5年ほど前の松井氏の死去を契機に教団が変質した」と指摘する。女性信者ばかりが幹部に登用され、古参信者は会を追われ始めたという。奥野さんも紀元水の「販売実績」で全国1位になったことがある古参信者だった。
元幹部の男性は「窪田容疑者と奥野さんの間に確執があったようだ」と話す。また奥野さんが経営するすし店の経費について、それまで支払っていた教団が1年ほど前に支払いを停止したとされ、教団と奥野さんとの関係に変化がみられる。捜査本部もこうした点に着目しており、教団内部の確執を背景に集団暴行事件に発展した可能性もある。ただ教団は「奥野さんと窪田容疑者は仲が良かった」としている。
◇警察の捜査
先月25日に逮捕された和宏容疑者らは当初、「自宅での家族内のけんかで奥野さんが死亡した」と口裏合わせをしていた。しかし取り調べで、奥野さんが意識を失った場所などで食い違いが生じる。和宏容疑者らは奧野さんを病院へ運ぶ際、自宅のすし店で椅子を倒すなどの擬装をしたが、程なく真相を語り始めた。
県警は現在、捜査員380人態勢で捜査を進めている。捜査幹部は「容疑者が多い集団犯罪特有の難しさに加え、宗教が絡んでいる。楽な事件ではない」とする。一方で教団の弁護士は「警察は『内部対立を背景にした窪田容疑者主導の事件』と見ているが、私は異なる見解を持っている」と話している。
毎日新聞 2007年10月23日